出品作家

ホーム (home) » 出品作家 » 荒川亀斎

荒川亀斎

日本
ハーンが注文して作らせた仏像(未完)
32×10.5cm
桜の木

荒川亀斎(文政10年―明治39年)(1827-1906)は、大工の子として松江・横浜町に生まれた。本名明生、通称重之輔。緻密な技巧を駆使し、象嵌細工をはじめ工芸的な技法による木彫作品を多数遺す。内外の名だたる展覧会に出品し受賞を重ねたが、地元に残る作品では、出雲大社に奉納した《櫛稲田姫像》(シカゴ万国博覧会優等賞)、松江・八幡町の平浜八幡宮(武内神社)に奉納した《征韓図》(パリ万国博覧会銅賞)が著名である。かつて松江・寺町の龍昌寺には、亀斎が顔の部分だけを少し彫り改めた石造の地蔵菩薩があった。明治23年(1890)この地蔵の顔を大層気に入った小泉八雲が亀斎に懇願して作らせたのが、ここに展示する桜材の地蔵菩薩像である。この像が未完成であるのは、木の材質を変えて欲しいという八雲の申し出を快諾した亀斎が、黒柿材による同像に急遽作り改めたためと伝えられている。共に偉大な芸術家であった八雲と亀斎の親密な交流を物語る貴重な像で、今年4月、テレビ番組で紹介され全国放送された。